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休憩時間にも給料は発生する? 賃金支払いのルール

2024年04月04日
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休憩時間にも給料は発生する? 賃金支払いのルール

休憩時間は、労働者にとって心身を健やかに保つために必要な時間です。

しかし、会社によっては、休憩時間であるにもかかわらず仕事を命じられることがあります。また、来客があれば対応しなければならないにもかかわらず、待機時間であることを理由に給料が支払われないこともあります。

このような休憩時間に関するトラブルを回避するためには、労働者の側としても、休憩時間についての基本的なルールを理解しておくことが大切です。本コラムでは、休憩時間に関する基本的なルールと賃金未払いがあった場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスの弁護士が解説します。

1、休憩時間のルール

まず、法律上における、休憩時間に関する基本的なルールを説明します。

  1. (1)労働基準法上の休憩時間とは

    労働基準法上の休憩時間とは、労働者が労働から完全には離れることを保障された時間のことです
    労働者が連続して働くと、身体的・精神的疲労が蓄積することから、仕事のミスが多発したり、健康被害が生じたりするリスクが発生します。
    そのようなリスクを回避する目的で、労働基準法では、一定時間勤務した労働者に対して、勤務時間に応じた休憩時間を与えることが義務付けられています

    具体的には、以下のような休憩時間が法律上の最低ラインとなります。

    • 労働時間が6時間以内:休憩時間なし
    • 労働時間が6時間を超え8時間以内:休憩時間は45分
    • 労働時間が8時間を超える:休憩時間は1時間


    なお、労働基準法上の休憩時間は、正社員だけでなくアルバイト従業員にも同様に保障されています。

  2. (2)休憩時間の三つの原則

    休憩時間には、以下の三つの原則が定められています。

    ① 途中付与の原則
    休憩時間は、労働時間の途中で与えなければなりません。
    たとえば、「始業前に1時間の休憩を与えて、8時間働くことや8時間働いた後の終業前に1時間の休憩を与える」ということは、途中付与の原則に反するために認められません。

    なお、あくまでの労働時間の「途中」に付与しなければならないという原則であるため、「2時間おきに15分ずつの休憩など分割して休憩をとらせる」といったことは可能です。

    ② 自由利用の原則
    休憩時間は、労働者が自由に利用できなければなりません。
    そのため、休憩時間の目的を害しない限りは、労働者は休憩時間中に「会社から外出する」「食事をする」「昼寝をする」などの行動を自由に行うことができます。

    使用者が休憩時間中の労働者に電話対応や来客対応を命じることは、たとえ実際には電話や来客がなかったとしても、対応を命令された時点で労働者にとっては「完全に労働から解放された自由な時間」とはいえなくなるため、休憩時間ではなく労働時間とみなされることになります。

    ③ 一斉付与の原則
    休憩時間は、当該事業場の労働者に対して、一斉に与えなければなりません。
    たとえば、同じ部署の従業員に時間をずらして休憩を与えることは、一斉付与の原則に違反するため、基本的には認められません。

    ただし、一斉付与の原則には例外も認められています。
    具体的には、労使協定で一斉付与の原則が適用されない範囲の取り決めがなされた場合には、当該業種については一斉付与の原則が適用されません。
    また、以下のような業種については、労働者に一斉に休憩させることが困難な業種であるため、一斉付与の原則の適用除外とされています。

    • 運輸交通業
    • 商業
    • 金融広告業
    • 映画、演劇業
    • 通信業
    • 保健衛生業
    • 接客娯楽業
    • 官公署

2、休憩時間にも給与が発生する?

会社から支払われる給料は、労働者の労働の対価として支払われるものです。

休憩時間は労働から完全に解放された時間ですので、その間は、労働者は会社に対して労務を提供する必要はありません。
そのため、休憩時間には給料は発生せず、休憩時間分の給料を会社に対して求めることはできません。
ただし、会社が休憩時間とみなしている時間であっても、実際には会社の指揮命令下に置かれている時間が含まれていることがあります。
労働から完全に解放されていない時間は、休憩時間ではなく労働時間といえるため、会社に対してその時間に相当する給料を請求することが可能です

3、待機時間の場合は?

休憩時間に関してトラブルが多いのが「待機時間」と呼ばれる時間です。
会社側は、「待機時間は休憩時間である」として、給料の支給対象外とすることがあります。
以下では、待機時間は休憩時間に含まれるのか、それとも労働時間に含まれるのかを解説します。

  1. (1)トラック運転手の待機時間

    トラック運転手は、指定された時間に集荷や配達場所についたとしても、すぐに作業することができず待機を余儀なくされる場合があります。
    このようなトラック運転手の待機時間を一般的に「荷待ち時間」や「手待ち時間」といいます。

    運送会社では、トラック運転手に発生する荷待ち時間を休憩時間として扱い、給料の支払いから除外することがあります、
    法律的には、労働時間に該当するのか休憩時間に該当するのかは「当該時間が使用者の指揮命令下に置かれた時間である」か「労働から完全に解放された時間であるか」によって区別されます
    トラック運転手の荷待ち時間は、実際に作業をすることなくトラックで待機している時間であるから、「働いている」とはいえないかもしれません。
    しかし、荷待ち時間には、いつ作業が始まってもいいように社内で待機していなければならず、前後の状況に応じて少しずつ駐車位置もしなければなりません。
    また、荷待ち時間中にトラックを離れて食事をすることもできませんので、荷待ち時間は「労働者が自由に利用することができる時間」とはいえないのです。
    したがって、トラック運転手の待機時間(荷待ち時間)は、基本的には、休憩時間ではなく労働時間にあたるといえます

    なお、トラックドライバーの労働時間について判断をした行政通達においても、手待ち時については、「出勤を命じられ、一定の場所に拘束されている以上労働時間と解すべき」との判断が示されています(昭和33年10月11日基収第6286号)。

  2. (2)医師の待機時間

    医師は、救急患者の緊急手術や入院患者の急変が生じ、病院から電話連絡を受けたときは、勤務時間外であっても病院に駆けつけなければならないことがあります。このような医師の待機時間のことを一般的に「オンコール」といいます。

    医師のオンコールについては、裁判所は、以下のような理由から労働時間ではないと判断しています(大阪高裁平成22年11月16日判決)。

    • 病院にオンコールに関する規定がなく、産科医間の自主的な取り決めであったこと
    • オンコールの医師の名前が病院に報告されることはなく、宿日直の看護師や助産師にも伝えられていなかったこと
    • オンコールで医師が呼び出しを受け、緊急診療を行ったときは時間外手当が支給されていたこと


    この裁判例では、オンコールが病院から明示または黙示の指示により命じられたものではなく自主的な取り決めであったことが労働時間ではない理由として挙げられています。
    そのため、病院からの明示または黙示の指示によりオンコールの体制がとられているような場合には、この裁判例とは異なった判断がなされる可能性もあります。

4、賃金が未払いだった場合

以下では、賃金が未払いであった場合にとることのできる対応を解説します。

  1. (1)未払い賃金に関する証拠収集

    会社から休憩時間として扱われている時間が実は労働時間であった場合は、会社に対して未払い賃金を請求することができます。

    会社への未払い賃金請求をするためには、まずは、休憩時間が労働時間に含まれることを証明するための証拠を集める必要があります。
    また、休憩時間のうち何時間が労働時間にあたるのかも、証拠によって立証していかなければなりません。

  2. (2)未払い賃金の計算

    未払い賃金に関する証拠が手に入ったら、次は、未払い賃金の金額を計算します。

    休憩時間が労働時間に含まれている場合には、時間外労働に対する割増賃金などが発生している可能性もありますので、それらを正確に計算していく必要があります。
    割増賃金率は、「時間外労働」「深夜労働」「休日労働」などの時間帯によって異なってくるため、どの時間帯の労働にあたるかをしっかりと区別することが大切です。

  3. (3)会社への未払い賃金の請求

    証拠収集と未払い賃金の計算ができた段階で、会社に対して未払い賃金請求を行います
    基本的には勤務先との話し合いになりますが、話し合いで解決できないときは、労働審判や裁判などの対応が必要になってきます。

    未払い賃金を請求する権利は、給料の支払い日から起算して3年で時効によって焼失します
    したがって、未払い賃金請求をする場合には、早めに行動することが大切です。

  4. (4)一人で対応するのが難しいと感じたときは弁護士に相談を!

    会社への未払い賃金請求を一人で対応するのが難しいと感じた場合は、すぐに弁護士にご相談ください。

    弁護士には、未払い賃金請求に必要な証拠収集や未払い賃金計算のサポートを依頼することができるため、ご本人は面倒な作業を行う負担を回避できます
    また、会社との対応も任せることができますので、精神的負担も大きく軽減されるでしょう。

5、まとめ

休憩時間とは、労働から完全に解放された時間です。
会社から休憩時間を与えられていたとしても、来客や電話対応を命じられている場合には、その時間は休憩時間ではなく労働時間にあたります。
その場合には、本来支払われるべきであったが未払いとなっている賃金を請求できる可能性があります。

会社に未払い賃金を請求することを検討されている方は、ベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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