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病気で解雇されそうな場合はどうする? 解雇できないケースを紹介

2025年06月23日
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病気で解雇されそうな場合はどうする? 解雇できないケースを紹介

病気で長期間の治療が必要になると「解雇されてしまうのではないか」と心配になる方もいるでしょう。

しかし、病気を理由とした解雇は、その原因や状態によって違法になるケースもあります。解雇が違法であれば不当解雇を理由に復職や慰謝料の請求をすることも可能です。

今回は、病気を理由とする解雇の可否、病気を理由に解雇されたときの対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスの弁護士が解説します。


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1、病気で解雇されそうな場合はどうする?

そもそも病気を理由とした解雇はできるのでしょうか。以下では、病気を理由とする解雇の可否と解雇の手続きについて説明します

  1. (1)業務と関係のない病気であれば解雇される可能性あり

    業務と関係なく生じた病気であれば解雇される可能性があります。このような病気(または怪我)を「私傷病」といいます。

    私傷病を理由とする解雇が有効になるのは、以下のようなケースです。

    • 私傷病により業務を遂行するのが不能なとき
    • 私傷病が治る見込みがないとき
    • 会社に休むという報告をせず、長期間無断欠勤をしたとき


    ただし、病気を理由に解雇するには、就業規則に「精神または身体の障害により業務に耐えられない」という内容の解雇事由が定められている必要があります。

    また、会社に病気休職制度が設けられている場合、休職制度を利用することで会社に籍を置いたまま病気の療養を続けることができます。
    ただし、休職期間満了後も病気が治癒せず、就業が困難な場合は退職または解雇になる可能性があります。

    こうした制度が利用できるか、まずは就業規則を確認することが大切です

  2. (2)解雇日の30日以上前から解雇予告が必要

    会社が労働者を解雇するには、少なくとも解雇日の30日前までに解雇の予告をしなければなりません。これを「解雇予告」といいます。

    解雇予告は、病気を理由として長期間欠勤している場合でも適用されますので、会社は労働者に対して解雇予告を行う必要があります。

    ただし、解雇日の30日前までに解雇予告ができない場合には、不足する日数に応じた平均賃金の支払いが必要になります。これを「解雇予告手当」といいます。

    なお、横領や暴力などの重大行為があり、労働基準監督署が認定した場合は例外的に解雇予告手当が支払われない解雇が認められることもあります。

2、病気でも解雇できないケース

病気の原因や状態によっては解雇が制限されるケースがあります。
以下では、病気を理由に解雇ができないケースについて説明します。

  1. (1)病気と業務内容に関係性がある場合|療養期間とその後30日間は解雇できない

    病気が業務に関連して発症したものである場合には、「労災(業務災害)」に該当します

    労働基準法19条1項では、業務に関連する病気を理由とする解雇を制限しており、療養期間とその後30日間は解雇ができません。そのため、労働者としては、病気の原因が業務に関連することを主張して、解雇を免れることができます。

    ただし、治療開始後3年を経過しても病気が治らないときは、会社が労働者に対して、平均賃金の1200日分(打切補償)を支払うことで解雇ができるようになります(労働基準法19条1項但書、労働基準法81条)。

    なお、病気を理由とする解雇の正当性は、さまざまな要素によって判断されるため、詳しくは弁護士などに相談することをおすすめします。

  2. (2)現在の業務は難しいが他の業務に変更すれば問題ない場合

    業務とは関係ない病気であったとしても、病気の程度によっては、業務に支障がない場合があります。また、現在の業務に就くことが難しくても、たとえば営業職から事務職に変更するなど、他の業務に変われば問題なく業務を行うことができる場合もあります。

    このようになされた解雇は、就業規則の「精神または身体の障害により業務に耐えられないとき」に該当しませんので、不当解雇になります

  3. (3)妊娠や出産を理由としている

    男女雇用機会均等法では、妊娠・出産・産休取得を理由として解雇などの不利益な取り扱いをすることを禁止しています。

    病気による解雇というわけではありませんが妊娠中や出産後1年を経過していない女性の解雇は、原則として不当解雇になります(男女雇用機会均等法9条4項)

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3、病気を理由に解雇されたときの対応

病気を理由に解雇されてしまったときは、以下のような対応を検討しましょう。

  1. (1)解雇された経緯や病気と業務の因果関係などの状況を把握する

    会社から病気を理由に解雇を告げられた場合、まずは以下の状況を把握するようにしましょう。

    ① 解雇された経緯や理由
    ② 病気と業務の因果関係
    ③ 就業規則の内容
    ④ 病気の状態


    これらの事項は、今後不当解雇を争うためにも重要な要素になりますので、早い段階で状況確認をしておくことが大切です。

    ① 解雇された経緯や理由
    不当解雇を争うためには、どのような理由で解雇されたかについて把握しておいた方がいいでしょう。そこで、解雇理由証明書((2)で後述)を請求して、解雇理由を明確にしておきましょう。
    また、解雇予告手当の請求にも関係しますので、解雇が解雇日の何日前に告げられたのかも確認しておきましょう。

    ② 病気と業務の因果関係
    病気が業務に関連する場合、原則として解雇が禁止されますので、病気と業務の関連性は不当解雇を争うための重要な要素となります。
    なお、職場のストレスによるうつ病も業務との因果関係が認められる可能性があります。

    ③ 就業規則の内容
    病気を理由に解雇するには、就業規則にその旨の解雇事由が規定されていることが必要です。就業規則に病気を理由とする解雇を可能とする解雇事由がない場合、不当解雇の可能性がありますので、就業規則の内容を確認しておきましょう。

    ④ 病気の状態
    病気の状態によっては業務に支障がないものもあります。
    業務への支障がどの程度なのかを明らかにするためにも、担当の医師に相談して診断書を書いてもらうとよいでしょう。

  2. (2)解雇理由証明書を会社に請求する

    解雇理由証明書とは、会社が労働者を解雇した理由について具体的に記載された書面であり、使用者は労働者から請求があった場合にはその交付が義務付けられています(労働基準法22条1項)。

    不当解雇を争うには、会社がどのような理由で解雇をしたのかを明らかにする必要があるため、解雇理由証明書の取得は重要です。請求することで、後から「病気を理由とする解雇ではなかった」などの反論を封じることができます。

    解雇理由証明書は、労働者からの請求がなければ交付されないケースが多いため、まずは忘れずに解雇理由証明書を会社に請求しましょう。

  3. (3)不当解雇を主張したい場合は証拠を集める

    病気による解雇が不当解雇であると主張するには、それを裏付ける証拠が必要になります。

    不当解雇を主張するケースでは、前述の解雇理由証明書以外にも、主に以下のような証拠が必要です

    • 就業規則
    • 解雇通知書
    • 診断書
    • 病気になった経緯を証明するもの(ハラスメントの録音、録画)
    • 上司とのメールのやり取りなど


    解雇日以降は会社に立ち入ることができず、証拠収集が困難になりますので、解雇を告げられたときは早めに証拠収集を始めるようにしてください。

  4. (4)弁護士に相談する

    不当解雇の場合、会社に対して解雇の撤回を求めることができます。しかし、不当解雇に該当するかどうかは、法的判断が必要な事項になります。

    そのため、不当解雇を争う場合には、事前に弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士に相談をすれば、病気による解雇が不当解雇にあたるのか適切な判断ができ、今後とるべき行動についてアドバイスを得ることができるでしょう。

4、病気で解雇されそうな場合は弁護士に相談を

病気を理由に解雇されそうなときは、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)解雇理由に正当性があるか法的に判断できる

    弁護士に相談をすれば実際に解雇された経緯や病気の原因・状態などを踏まえて解雇理由に正当性があるかを判断することができます。不当解雇を争うには、解雇理由の正当性を判断することが重要ですので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

    また、弁護士に相談すれば解雇手続きの正当性もチェックできますので、解雇予告手当が支払われていない場合には、それも請求することが可能です。

  2. (2)会社との交渉を代行できる

    不当解雇を理由に解雇の撤回を求めていくには、まずは会社との交渉が必要になります。しかし、労働者個人で解雇の撤回を求めても会社はまともに取り合ってくれないケースが少なくありません。

    このような場合は、弁護士に依頼するのがおすすめです。弁護士が代理人として法的根拠に基づいて会社と交渉することでスムーズな解決につながる可能性が高まります。

  3. (3)不当解雇の場合は職場復帰や慰謝料を請求できる

    不当解雇にあたる場合には、職場復帰や慰謝料を請求することができます。

    弁護士は、労働審判や裁判などの法的手続きにより、職場復帰や慰謝料の支払いなど、労働者の権利を実現するために働きかかけます。

    基本的な対応はすべて弁護士に任せることができますので、精神的な負担も軽減されます。不当解雇の疑いがあるときはすぐに弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

病気で解雇されそうな場合、解雇理由に正当性があるかどうかは、業務と病気の因果関係、就業継続の可否など、さまざまな要素によって判断されます。

また、(普通)解雇の場合、30日以上前から解雇予告されている必要があり、30日未満の場合は解雇予告手当の支払いが必要と説明です。弁護士に相談すれば、解雇理由に正当性があるか、解雇手続きは適切であるかなどを法的に判断することが可能です。

会社から病気を理由に解雇される可能性がある、もしくは解雇されてお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスまでご相談ください。労働問題の実績が豊富な弁護士が解決に向けて尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています