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リモートワーク中の社員が経費や備品のトラブルを起こしたときの対処

2022年01月19日
  • 一般企業法務
  • 経費
  • リモートワーク
リモートワーク中の社員が経費や備品のトラブルを起こしたときの対処

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、企業の働き方も変化してきています。会社に出勤して働くことが「当たり前」ではなくなり、社員に自宅で仕事をさせるリモートワーク制度を導入する企業が増えてきているのです。

リモートワークを導入することには、企業側には通勤費やオフィス経費を削減することができるというメリットがあり、従業員側にとっても通勤時間が減って余暇や家族と過ごすための時間を増やすことができるというメリットがあります。しかし、初めてリモートワークを導入する企業は、就業規則の変更や経費負担の問題などに対応することが必要となるのです。

本コラムでは、リモートワーク中の社員が経費や備品のトラブルを起こしたときの対処法について、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスの弁護士が解説いたします。

1、リモートワークの労働時間管理の必要性

リモートワーク(テレワーク)を導入すると、従業員は、基本的には会社ではなく自宅で働くことになります。
そのために、従業員の労働時間の管理方法について、きちんと確認をしてルール化しておくことが重要になるのです。

  1. (1)リモートワーク導入には就業規則の変更が必要

    リモートワークを導入する場合には、労働時間や賃金などについて新たなルールを決めなければなりませんので、原則として、就業規則の変更が必要になります。
    就業規則を変更する方法としては、就業規則本体に直接規定する方法と、「リモートワーク規定」といった個別の規定を定める方法があります。いずれの方法をとる場合でも、所轄の労働基準監督署に就業規則の変更届を提出する必要があるのです

  2. (2)リモートワーク時の労働時間管理

    リモートワークでは従業員に対して使用者の目が十分に届かなくなるため、リモートワーク中の労働時間は適切に管理する必要があります。

    ① 始業・終業時刻の管理
    リモートワークではない通常の勤務時の始業・終業時刻の管理がタイムカードなどで行われている場合には、リモートワーク時の始業・終業時刻の管理をどのように行うのかを決めなければなりません
    始業・終業時刻の管理方法としては、Eメール、電話、出退勤管理ツールなどさまざまな方法があります。各企業の事情や社風を考慮しながら選択しましょう。

    ② 在席・離席確認
    始業・終業時刻の管理のほかにも、労働時間中に適正に業務が行われているのかをチェックするために、労働時間中における在席・離席の確認方法も定めておく必要があります。
    在席・離席確認の方法としては、始業・終業時刻の管理と同様に、Eメール、電話、出退勤管理ツールなど方法が考えられます。労働時間中は、常に電話連絡が可能な状態にすることやリモートワーク時のパソコン画面が閲覧できる状態にしておくということも有効な手段となります
    いずれにしても、会社と従業員との間で十分に協議して決めることが重要です。

2、リモートワークにおける「経費」の取り扱い

リモートワークでは、会社ではなく自宅で仕事をすることになりますので、在宅勤務で発生する費用のうち、どの部分を経費として認めるかについての明確なルールに基づいた経費制度を定めておく必要があります。

  1. (1)情報通信機器の費用

    リモートワークでは、従業員は自宅で業務を行うことになりますので、パソコン、周辺機器、携帯電話などの情報通信機器が必要になります。
    セキュリティの観点から、会社で購入した情報通信機器を従業員に貸与する方法をとることが最善な場合が多いです。従業員がプライベートで所持している機器で業務を行わせると、情報漏れやウイルス対策が不十分になる可能性が高いためです。

  2. (2)通信回線費用

    リモートワークをする場合には、インターネット環境が必須となります。従業員の自宅に既にインターネット環境がある場合には、その回線を利用することができますので、新たな費用負担は生じないでしょう。
    しかし、月々の通信回線使用料の負担をどうするかについては、別途取り決めが必要になります。従業員やその家族が個人的に使用することもあり、個人使用と業務使用との区別が難しいため、従業員の個人負担とすることも可能です。

  3. (3)文具、備品、宅配便などの費用

    リモートワークにおいても文具や備品を使用することがある場合には、基本的には経費扱いとして会社が負担することが相当です。リモートワークを開始する前に、必要となる文具、備品、切手、メール便などは従業員に配布しておくことが望ましいでしょう。また、リモートワーク中に必要になった物については、従業員が一旦立て替えて支払っておき、後日に経費として清算する、という取り扱いにすることをおすすめします

  4. (4)水道光熱費

    リモートワーク中の自宅の水道光熱費については、個人使用と業務使用との区別が困難であるため、従業員の個人負担とすることができます。会社側が負担する場合には、在宅勤務手当として一定額を支給するという取り扱いが考えられます

3、備品の購入や通勤手当の実費支給の際の注意点

備品の購入や通勤手当の実費支給の際には、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)備品購入時の注意点

    パソコンなどの備品を会社が購入した場合には、従業員に対して「貸与」という形式をとることをおすすめします。「支給」という取り扱いをした場合には、従業員に対して所得税が課税されてしまうためです。
    また、貸与したパソコンで私的なソフトウェアやアプリなどをインストールすることのないように、パソコン内で「管理者」を設定するなどして適切な管理を行う必要があります。

  2. (2)通勤手当の取り扱いについて

    リモートワークを導入することによって、会社に通勤をする必要がなくなります。したがって、従来支給していた通勤手当を廃止し、実際に通勤した日数に応じた交通費を支給することで、会社の経費を削減することができるようになるのです。
    他方、リモートワークを導入することによって、通信回線費用や自宅の水道光熱費など従業員が一部負担することになる経費も出てきます。そのような経費については、「在宅勤務手当」という名目で一定額を支給することで、通勤手当が廃止されることによる従業員の不満を緩和できることが見込めます。

4、社員による経費の不正使用や、備品の破損が発覚した場合の対処方法

リモートワークを導入することによって、これまでにはなかったさまざまな問題が生じることがあります。以下では、経費に関する具体的な問題を想定して、それぞれの問題の対処方法について説明します。

  1. (1)光熱費や通信費を過大報告して必要以上の経費をせしめていた場合

    リモートワークを導入する場合には、従業員個人が負担をした経費の清算方法を定めておく必要があります。しかし、リモートワークの経費は、個人的な費用と業務用の費用を明確に区別することが難しいことから、従業員から過大な費用を経費として請求されることがあります。
    このような行為は「経費の不正使用」に該当し、業務上横領罪に該当する可能性があります。金額が甚大であるなどの悪質な場合には、従業員から被害弁償の有無・金額を踏まえて刑事告訴などの手続きを検討することになるでしょう。
    また、経費の不正使用に関しては、多くの会社では就業規則において「懲戒事由」として規定されています。懲戒事由としてあらかじめ規定されていれば、リモート枠に関連する経費の不正使用が発覚した場合にも、懲戒解雇をすることが容易になります。

  2. (2)会社が支給したパソコンがリモートワーク期間中に壊れていた場合

    従業員が会社の備品を破損させた場合には、会社が従業員に対して損害賠償請求をすることが可能です。
    しかし、損害賠償請求が可能な場合であっても、損害額全額を負担させることは難しいケースがあります。従業員は、リスクが生じる可能性のある業務であっても、会社の指揮命令にしたがって行わなければなりません。また、会社は従業員を使用することで事業を拡大して利益を得ることができるのであるから、従業員を使用したことによって生じた損害も会社が責任をもって負担すべきである、とも見なされます。裁判においても従業員の責任は低く見積もられる傾向があり、会社から従業員への損害賠償請求がなされた場合にも、請求額の全額は支払われないことが多々あるのです。
    したがって、会社が支給したパソコンをリモートワーク期間中に従業員が破損させたとしても、損害額全額を請求することは難しいといえるでしょう。損害賠償請求をする際には、損害額の一部のみを請求することになります。
    なお、従業員からの合意がない限りは、損害額の一部を給料から天引きして支払わせるという措置をとることは認められません

5、まとめ

新型コロナウイルスによる感染拡大を受けて急速に普及するようになったリモートワークですが、新規に導入する企業では、従業員との間でさまざまなトラブルが生じる可能性があります。あらかじめ想定することができるトラブルについては、就業規則などを適切に規定・変更をすることによって予防できる可能性があります。そのためには、労働問題に詳しい弁護士に相談をして、具体的なアドバイスを得ながら進めていくのが有効な手段といえるのです
熊本県内でこれからリモートワークを導入しようと考えている企業の経営者は、適切な労務管理を行うためにも、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスにまでご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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