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婚姻費用は調停と審判どちらで決めたほうがいい? メリットとデメリットを解説

2023年07月10日
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婚姻費用は調停と審判どちらで決めたほうがいい? メリットとデメリットを解説

裁判所が公表している司法統計によると、令和3年に熊本家庭裁判所に申し立てのあった婚姻費用分担請求調停の件数は、270件でした。

別居中の生活費については、婚姻費用として配偶者に対して請求することができます。婚姻費用の金額などは、基本的には夫婦の話し合いによって決めることになります。しかし、もし話し合いでも合意に至らない場合には、家庭裁判所の調停または審判によって決める必要があります。

本コラムでは、婚姻費用を決めるための調停と審判というそれぞれの手続きの流れや、両者のメリットとデメリットについて、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスの弁護士が解説します。

1、婚姻費用の分担請求調停~審判の流れ

まず、婚姻費用の概要や、婚姻費用分担請求調停から審判までの流れについて説明します。

  1. (1)婚姻費用とは

    婚姻費用とは、夫婦が別居をすることになった場合に、収入の少ない方から多い方に対して請求することができる生活費のことをいいます
    婚姻費用には、衣食住の費用のほかにも医療費、未成熟の子どもの養育費、教育費、交際費など夫婦が生活していくために必要な費用が含まれています。

    離婚前に別居をすることになったとき、自分の収入が配偶者よりも少ない場合は、離婚までの経済的な不安を解消するためにも、忘れずに婚姻費用の請求を行うようにしましょう。

  2. (2)婚姻費用分担請求調停から審判までの流れ

    婚姻費用の金額や支払い方法については、まずは、夫婦の話し合いによって決めていくことになります。
    しかし、相手が婚姻費用の支払いを拒んだり、条件について合意できなかったりする場合には、話し合いでの解決が難しくなるため、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てる必要があります。

    以下では、婚姻費用分担請求調停・審判の基本的な流れについて説明します。

    ① 婚姻費用分担請求調停の申し立て
    夫婦で婚姻費用の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停の申し立てを行います
    申し立てをする裁判所は、相手の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定めた家庭裁判所です。

    調停の申し立てが受理されると、2週間前後で第1回調停期日の日程が決まり、申立書の写しとともに調停期日通知書が裁判所から相手に送られます。

    ② 調停での話し合い(調停期日)
    裁判所から指定された日時に裁判所に出向いて、調停期日に出席します。
    調停では、夫婦は、それぞれ別の待合室で待機して、話をする場合には交互に調停委員のいる部屋に入ります。また、夫婦が別々の調停室で待機を行い、調停委員が移動して夫婦から話を聞くという場合もあります。
    そのため、夫婦が直接顔を合わせて話し合いをする必要はありません。
    したがって、当事者だけでは感情的になってしまうケースであっても、冷静に話し合いを進めることができます。

    1回目の調停期日で解決しない場合には、2回目以降の調停期日が指定されて、調停は終了となります。
    なお、婚姻費用の金額に争いがある場合には、婚姻費用の算定表に基づく、相場となる金額が提示されます。

    ③ 調停の成立または不成立
    何度か話し合いを重ねた結果、合意が得られた場合には、調停成立によって調停は終了します。

    しかし、もし合意が成立しなかった場合には、調停は不成立になります

    ④ 婚姻費用分担審判への移行
    調停が不成立になった場合には、特別な申し立ての手続きを必要とせずに、自動的に審判に移行します。

    裁判官によって調停の不成立が告げられた後、その場で審判手続きがどのようなものであるかの説明がなされて、審問期日が指定されます。

    ⑤ 審問期日での審理
    審問期日は、調停が不成立になった日から約1か月後に設定されます。
    審問期日では、裁判官から当事者に対して質問がなされますので、それに答えるとともに、自己の主張を裏付ける資料がある場合には、証拠として提出することもできます。

    調停は夫婦間の協議の延長線上にある話し合いの手続きであったのに対して、審判は裁判の手前にある手続きである、とイメージするとよいでしょう。
    なお、調停段階で当事者から十分な主張および資料の提出がなされており、追加の主張などがない場合には、審問期日を設けることなく審判が言い渡されることもあります。

    ⑥ 審判結果の言い渡し
    当事者の双方が主張を尽くしたと判断されると、審理は終了となり、裁判官から審判結果が言い渡されます

    なお、審判結果に不服がある場合には、2週間以内であれば高等裁判所に即時抗告(不服申し立て)をすることができます。

2、婚姻費用を調停・審判で決めるメリット・デメリット

以下では、婚姻費用を調停または審判で決めることについて、それぞれのメリットとデメリットについて説明します。

  1. (1)婚姻費用を調停で決めるメリット・デメリット

    ① メリット
    調停は、話し合いの手続きですので、調停で合意が成立したという場合には、お互いに納得して婚姻費用の金額を取り決めたということになります。
    お互いが納得した条件であれば、合意した内容に従って、任意による支払いが期待できるというメリットがあります

    また、調停では法律にとらわれることなく柔軟な解決が図れるので、相手の合意が得られれば、相場を上回る金額での合意を成立させることもできます。

    ② デメリット
    調停での合意は、あくまで当事者の自由な意思に基づく合意です。
    したがって、後日に婚姻費用の金額を変更するためには、当時予測することができなかった重大な事情の変更が生じたことが必要になります。

    つまり、婚姻費用を調停で決めてしまった場合には、後日、婚姻費用の増額または減額請求が認められにくいというデメリットがあります

  2. (2)婚姻費用を審判で決めるメリット・デメリット

    ① メリット
    審判では、裁判と同様に裁判官が適当と考える婚姻費用の金額を決定するので、相手が反対をしていたとしても、婚姻費用の金額を決めることができるという点がメリットとして挙げられます。

    相手が金額に納得せずに調停での話し合いが長期化しているような場合には、審判に切り替えたほうが早期に解決しやすくなるでしょう

    ② デメリット
    審判では、裁判官によって強制的に婚姻費用の金額が決められますので、相手が婚姻費用の金額に納得していない場合には、任意に支払ってもらえない可能性があります。

    その場合にも、強制執行の手続きをとることによって、強制的に未払いの婚姻費用を回収することができます。
    しかし、手続きを申し立てなければならないという負担が生じるという点は、デメリットといえるでしょう

3、離婚調停と同時に申し立てることはできる?

以下では、婚姻費用の調停を離婚調停と同時に申し立てるのかどうかについて解説します。

  1. (1)離婚調停の概要

    離婚をする場合には、まずは、夫婦で話し合いをして、離婚をするかどうか、離婚をする場合にどのような条件にするのかを決めていくことになります。
    このような離婚の方法を「協議離婚」といいます。
    しかし、相手が離婚に応じてくれない場合や離婚条件で争いがあるような場合には、話し合いで解決することができません。このような場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて解決を図ることになります。

    離婚調停も婚姻費用分担請求調停も家庭裁判所で行う調停という点では共通しますが、離婚調停で決めることができるのは、離婚に関する事項(離婚、親権、養育費、慰謝料、財産分与、年金分割)であり、婚姻費用に関する事項について、別途に婚姻費用分担請求調停を申し立てる必要があります。
    また、婚姻費用分担請求調停が不成立になった場合には、自動的に審判に移行しますが、離婚調停の場合には、不成立になった場合には、審判には移行せず、別途に離婚訴訟を提起しなければならないのです。

  2. (2)離婚調停と婚姻費用分担請求調停は同時申し立てが可能

    離婚調停と婚姻費用分担請求調停は、同時に申し立てをして、同じ調停期日で話し合いをすることも可能です。
    一度の調停期日で両方の事項を話し合うことができますので、手続き的な負担は軽減されるでしょう。

    ただし、離婚をするかどうか迷っているケースや協議離婚を進めているようなケースでは、離婚調停の申し立てを待っていると婚姻費用の支払いが遅れてしまうおそれがあります。
    婚姻費用の話し合いがまとまらない場合には、早めに婚姻費用分担請求調停の申し立てを行いましょう

4、調停は弁護士のサポートを得たほうがよい?

調停の申し立てを検討されている方は、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)調停期日に同席してサポートしてもらえる

    弁護士に依頼すれば、調停期日に同席してもらうことができます
    初めての調停では不安なことも多くあるでしょうが、弁護士が隣にいてくれれば安心して調停に臨むことができるでしょう。

    また、ご自身ひとりで調停に参加すると、調停委員や相手から提示された婚姻費用の金額や離婚条件が適切なものかどうかを判断することができず不利な条件で合意をしてしまうリスクがあります。
    弁護士に依頼すれば、そのようなリスクを回避することもできます。

  2. (2)調停と審判のどちらが適切か判断してもらえる

    調停での話し合いが長引いてくると、このまま調停を続けるのか、調停を終了させて審判に移行するのかの判断を求められることがあります。
    調停による解決と審判による解決には、それぞれメリットとデメリットがありますので、いずれも十分に理解した上で、手続きを選択することが重要です

    弁護士であれば、審判に移行した場合の結果についても、法律の専門知識やこれまでの経験に基づいて予想を立て、調停と審判のどちらの解決が適切であるのかを判断することができます。

  3. (3)有利な条件で離婚をすることができる可能性が高くなる

    離婚をする場合には、慰謝料や財産分与などの離婚条件も決めなければなりません。
    離婚条件には、それぞれ金額の相場や決め方などのルールも存在します。
    適切な離婚条件で離婚をするためには、これらのルールについても理解しておく必要があります。

    弁護士であれば、最大限に有利な内容で離婚をすることができるように、主張や立証を行うことができます
    ある程度の金銭的な支払いが予想されるケースでは、弁護士費用を支払ったとしても、それを上回るメリットが得られるでしょう。

5、まとめ

婚姻費用の金額などで争いがある場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停の申し立てを行うことになります。
調停は話し合いの手続きになりますが、婚姻費用の金額の相場などを理解していなければ不利な条件で合意をしてしまうおそれもあります。

離婚に関して調停の申し立てを検討されている方は、まずはベリーベスト法律事務所までご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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