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勝手に山菜を採ると森林窃盗で逮捕される? 窃盗罪との違いは?

2021年07月19日
  • その他
  • 森林窃盗
勝手に山菜を採ると森林窃盗で逮捕される? 窃盗罪との違いは?

熊本県が公表している「熊本県林業統計要覧」によると、平成31年4月現在の熊本県内の森林総面積は、46万1040ヘクタールとなっています。その内訳としては、民有林が86%、国有林が14%であり、熊本県内における土地利用面積に対する森林面積の割合は、62%を占めていることがわかります。

登山やキャンプが流行していることもあり、休日には自然の多い山や森に出かけるという方も多くなっていることでしょう。訪れた山や森に珍しい植物や山菜・タケノコなどの自然の食材があったときには、持ち帰りたくなる方もいるかもしれません。しかし、自然に生えている物だからといってそれを持ち帰ることは、場合によっては犯罪行為に該当することがありますので、注意が必要なのです。

本コラムでは、勝手に山菜やマツタケを採ることがどのような犯罪行為に該当するかなどについて、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスの弁護士が解説します。

1、森林窃盗とは?

森林に立ち入って勝手に山菜などを採ることは、森林法が定める「森林窃盗」という犯罪に該当する可能性があります。
森林窃盗に関する基本的事項について、解説いたします。

  1. (1)勝手に山菜を採ることは森林窃盗

    森林法197条では、「森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」と規定しています。そして、森林窃盗が保安林の区域内においてなされたものであるときには、刑罰が加重されており、森林法198条によって「五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と規定されています。

    森林窃盗で対象となっている「その産物」には、有機的産出物だけでなく、無機的産出物も含まれます。そのため、山菜やキノコ採った有機的産出物だけでなく、単なる石や岩といった無機的産物を持ち帰ったとしても森林窃盗は成立することになります。

    誰かの所有する山で山菜を採ることはよくないと何となくわかっている方でも、「国や県などが所有する山であれば問題ないだろう」と思っている方もいます。しかし、上記のとおり、自分以外が所有する森林において何らかの産出物を持ち帰ることは、すべて森林窃盗に該当するおそれのある行為なのです

    「道端に生えているのだから、よいだろう」といった安易な動機で植物を持ち帰ってしまうと場合によっては森林窃盗で処罰されるおそれがありますので、十分に気を付けましょう。

  2. (2)立ち入り禁止の場所に入ることは軽犯罪法違反

    軽犯罪法1条32号は、「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者」を拘留または科料に処すると規定しています。

    そのため、立ち入り禁止の看板があるにもかかわらず、山に立ち入ったときには、何も持ち帰らなかったとしても軽犯罪法違反となるのです

2、窃盗罪との違いは?

他人の物を盗む行為として、刑法には窃盗罪という犯罪類型があります。森林窃盗罪と窃盗罪との違いや、森林から山菜などを持ち出したときにはどちらの犯罪が成立するかについて、解説いたします。

  1. (1)窃盗罪とは

    刑法235条では、「他人の財物を窃取」する行為について窃盗罪として、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると規定されています。
    窃盗罪の典型的な行為としては、空き巣や万引きといったものがあります。

  2. (2)森林窃盗罪と窃盗罪との違い

    森林窃盗罪も窃盗罪も他人の物を窃取するという点では、共通する犯罪ですが、森林窃盗罪の法定刑は窃盗罪の法定刑よりも軽くなっています。

    これは、森林窃盗における産物の占有がゆるやかであるという点に起因します。
    森林窃盗では、主に森林内における産物の窃取が処罰の対象となりますが、森林内という誰でも容易に立ち入ることができる場所にある産物は、一般的にいって、盗まれやすい状態に置かれているといえます。また、自然に生えている植物などは、財産的価値も大きくないことがほとんどです。

    上記のような事情から、刑法上の窃盗罪と比べると森林窃盗罪は類型的に違法性が低く、責任も軽いといえるため、窃盗罪よりも軽い法定刑が定められているのです。

    このように、森林窃盗罪は、窃盗罪の特別法という関係にあります。そのため、窃盗罪と森林窃盗罪のどちらの要件にも該当するようなときには、特別法である森林窃盗罪だけが成立し、窃盗罪で処罰されるということはないのです

3、森林窃盗で逮捕されたあとの流れ

令和元年7月11日、宮崎県内において所有者の許可なく山林の杉を伐採し盗んだとして、被疑者の男性を森林窃盗の疑いで逮捕をしたとの報道がありました。このように、森林窃盗は、場合によっては逮捕される可能性のある行為です。森林窃盗で逮捕された場合には、以下のような流れで刑事事件がすすむことになります。

  1. (1)逮捕・取り調べ

    森林窃盗で逮捕されるケースとしては、被害者からの通報を受けて、その場で逮捕される「現行犯逮捕」か、裁判所から逮捕状を取得したうえで「後日逮捕」するという通常逮捕のどちらかのケースになるでしょう。
    いずれにしても警察に逮捕されたときには、身柄が拘束されて、警察署において当該事件に関する取り調べが行われます。犯行に至った経緯や動機などについて詳しく聞かれることになります。そして、逮捕がされた場合には、警察は被疑者の取り調べを行い、逮捕から48時間以内に検察官に送致するかどうかを決めることになるのです。
    検察官は、警察から送致を受けたときは、さらに取り調べを行ったうえで、逮捕から72時間以内かつ送致を受けたときから24時間以内に、裁判所に勾留を請求するかどうかを決めなければなりません。

  2. (2)勾留

    裁判所が勾留決定をしたときには、原則として10日間身柄拘束が継続することになります。そして、勾留には延長が認められておりますので、勾留延長が認められたときには、さらに10日間の身柄拘束が続くことになるのです。
    森林窃盗は、比較的軽微な犯罪類型であるため、そこまで長期の身柄拘束とはならない可能性がありますが、最長で20日間の勾留期間があることには注意しましょう。

  3. (3)起訴または不起訴

    検察官は、勾留期間が満了する時点までに、被疑者を起訴するか否かを決めなければなりません。なお、身柄が解放され在宅事件となったときには、必要な捜査を終えた段階で、処分を決めることになります。

    不起訴処分となったときには、事件は終了しますので、身柄拘束を受けていた被疑者は釈放されることになります。他方、事件を起訴する判断をしたときには、刑事裁判で犯罪事実が裁かれることになり、保釈請求をしない限りは裁判中も身柄拘束が継続することになるのです。

4、逮捕後、弁護士がサポートできること

森林窃盗で逮捕されたときには、弁護士に依頼することで以下のようなサポートを受けることができます。

  1. (1)被害者との示談交渉

    検察官が事件を起訴するか不起訴にするかを考えるときや裁判官が量刑を考えるときには、さまざまな事情を考慮することになります。そして、被害者との間で示談が成立しているか否かという事情は、それぞれの判断において重要な考慮要素となるのです。

    森林窃盗は、財産犯であるため、被害者が存在する犯罪類型になります。そのため、逮捕後の手続きを有利にすすめるためには、被害者との間で示談を成立させることが非常に重要となります。

    森林窃盗では自然の産物が被害対象となるため、被害金額も少ない傾向にあり、示談すること自体は、刑法上の窃盗罪に比べて容易なケースが多いでしょう。
    もっとも、逮捕され身柄拘束されている状態では、被害者と接触して示談交渉を行うことは不可能となるため、弁護士に依頼してすすめる必要があるのです。
    被害者としても、被疑者本人やその家族から接触されるよりかは、弁護士を通して交渉してもらった方が安心できますので、弁護士に依頼することによって、示談が成立する可能性が高まるといえるのです。

    さらに、既に述べましたとおり、逮捕・勾留の期間は最長でも23日間と限定されていることから、示談を成立させて不起訴処分を獲得するためには、一刻も早く弁護士を通して被害者との交渉をすすめる必要があります。

  2. (2)早期の身柄解放に向けた活動

    森林窃盗で逮捕されたときには、逮捕・勾留と手続きがすすめば最長で23日間も身柄拘束が続くことになります。このような長期間身柄拘束が続き、社会生活が断絶されてしまうと、会社員であれば仕事を失うリスクがあり、学生であれば学業に対する支障が大きくなります。そのため、逮捕されたときには、一日でも早く身柄を解放してもらえるように活動することが重要になるのです。

    森林窃盗は、刑法上の窃盗罪と比べて法定刑が緩和されていることからもわかるように、比較的軽微な犯罪類型といえます。そのため、逮捕されたとしても、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを説得的に伝えて、捜査機関との間で粘り強く交渉を続けることによって、早期の身柄解放により、在宅捜査に切り替えられる可能性があるのです。

    このような活動をするためには、専門的な知識と経験をもつ弁護士に相談することが不可欠です。逮捕されたときには、一日でも早く弁護士に相談することをおすすします。

  3. (3)身柄拘束中の面会

    逮捕中に面会をすることができるのは弁護士だけです。通常、身体拘束を受けることは人生に一度あるかないかです。初めての身柄拘束や初めての取り調べなど、これからどのように手続きがすすんでいくか、どのように対応すればよいかなど不安なことが多いでしょう。

    早期に弁護士が面会をすることによって、このような不安を取り除くことができます。また、弁護士が取り調べに対する適切なアドバイスや情報を伝えることも可能です

5、まとめ

勝手に山に立ち入って山菜取りやタケノコ採りをすることは、森林窃盗に該当するおそれのある行為です。安易な気持ちで行ってしまうと、場合によっては逮捕される可能性があります。
もし森林窃盗で逮捕されたしまったという場合には、早期に弁護士からのサポートを受ける必要があります。ご家族が森林窃盗で逮捕されてしまった場合には、ぜひ、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスにまでご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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