持続化給付金の不正受給や返還詐欺は速やかに弁護士に相談を

2021年06月29日
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持続化給付金の不正受給や返還詐欺は速やかに弁護士に相談を

熊本県警察のデータによると、2019年中の熊本県内における詐欺の認知件数は218件で、前年比29件の減少となりました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた経営者や個人事業主を利用し、またはターゲットとして、持続化給付金に絡んだ詐欺事案が急増しています。もし持続化給付金に関する詐欺に関与したり、巻き込まれてしまったりした場合には、すぐに弁護士に相談のうえ、適切な事後対応をとりましょう。

この記事では、持続化給付金に関する詐欺の手口・対処法・相談先などについて、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスの弁護士が解説します。

1、持続化給付金に関する2種類の詐欺

持続化給付金に関連する詐欺には、大きく分けて以下の2種類が存在します。

  1. (1)持続化給付金不正受給を持ちかける詐欺

    1つ目は、持続化給付金の不正受給を持ちかけて、コンサルティングフィーや手数料などの名目で金銭を支払わせる詐欺手法です。

    持続化給付金を受け取るためには、売り上げ減少などの法定の受給資格を満たさなければなりません。
    しかし、確定申告書や帳簿を偽造したり、サラリーマンが副業として個人事業を営んでいると偽って申請を行ったりする、持続化給付金の不正受給事案が多発しています。

    このような持続化給付金の不正受給事案は、申請者が単独で申請を行っているケースもありますが、多くの場合、背景には詐欺グループによるはたらきかけがあると考えられているのです

  2. (2)正当に受給した持続化給付金の返還を求める詐欺

    2つ目は、実際に売り上げが減少し、持続化給付金を正当に受け取った事業者に対して、自治体などを装って「要件を満たしていなかったことが判明したので、持続化給付金を返還してください」などとはたらきかける詐欺手法です。

    この手口を用いる詐欺グループは、いわゆる「架空請求」や「振り込め詐欺」などと同じように、ターゲットに対して義務のない支払いを行わせるため、巧妙な言い回しで近寄ってきます。
    少しでも怪しいと感じた場合は、後述する各種の相談先に速やかに相談しましょう。

2、持続化給付金を不正受給してしまった場合の対処法は?

詐欺グループから持続化給付金の不正受給を持ちかけられて、それに応じて不正受給をしてしまった場合、返還などの手続きを速やかにとることが大切です。

  1. (1)不正受給は詐欺罪に問われる可能性あり

    持続化給付金の不正受給は、国を騙して金銭を交付させる行為であり、刑法上の「詐欺罪」に該当します(刑法第246条第1項)。
    詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」ときわめて重くなっており、黙っていて捜査機関に発覚すると、重大な刑罰が科されてしまうおそれがあります。

  2. (2)速やかに自主返還の手続きをとるべき

    持続化給付金の不正受給をした場合には、経済産業省のコールセンターに連絡をして、すぐに自主返還の手続きをとることをおすすめします。

    2021年2月18日の時点で、持続化給付金の返還件数は10050件、返還金額は107億5000万円に上っています。
    これだけ多くの返還件数が発生していることを考慮すると、不正受給をしてしまった場合でも、自主的に返還の手続きをとれば、刑事訴追を免れる可能性は高いといえます
    また、自主返還を行った場合、延滞金の軽減・免除措置がとられる可能性もあります。

  3. (3)警察の事情聴取にも協力する

    もし持続化給付金の不正受給に関して取り調べを受けた場合には、事情をごまかさずに正しく伝えて、捜査に協力する姿勢を見せることが大切です。
    捜査機関による捜査に協力すれば、自身に対する処分を軽く済ませられる可能性が高くなるほか、詐欺グループによる被害に巻き込まれる人を減らすことにもつながります

3、持続化給付金の返還を要求された場合の対処法は?

正当に受給した持続化給付金を返還するように求められた場合は、不正受給の心当たりがない限り、持続化給付金詐欺を疑うべきです。

もし持続化給付金詐欺の疑いがある返還請求を受けた場合には、以下の対応をとりましょう。

  1. (1)すぐにお金を振り込んではいけない

    詐欺グループの求めに応じてお金を振り込んでしまうと、詐欺グループはすぐに音信不通となり、お金を回収することが困難になってしまいます。
    そのため、決して詐欺グループにはお金を振り込んではいけないのです。

  2. (2)請求者の素性を確認する

    持続化給付金の返還を求める詐欺の場合、詐欺グループは自治体の担当者などを装う場合が多いです。

    もし自治体の担当者を名乗る人から持続化給付金の返還に関する連絡が入った場合には、その人が所属する役所名・部署とフルネームを聞いておきましょう。

    そして、後からその役所や部署に連絡をとって、該当の職員が実際に存在しているのか、所属しているとしても本当に自分あてに連絡をしてきたのかどうかを、確認しましょう。

  3. (3)経済産業省のコールセンターに連絡する

    経済産業省のホームページでも、持続化給付金の返還手続きを装った詐欺に関する注意喚起が行われています。

    上述した経済産業省のコールセンターでは、持続化給付金の返還に関する詐欺被害の相談も受け付けています不安な場合はコールセンターに電話してみるとよいでしょう

4、持続化給付金詐欺の被害に遭った場合に相談先は?

もし持続化給付金詐欺の被害にあってしまった場合や、または自分が持続化給付金詐欺の片棒を担いでしまった場合には、速やかに公的機関の窓口や専門家に相談しましょう。

すでに紹介した経済産業省のコールセンター以外の、持続化給付金詐欺の主な相談先は、以下のとおりです。

  1. (1)国民生活センター

    国民生活センターは、重要な消費者紛争を法的に解決する手続きを実施することを目的とした、消費者庁が所管する独立行政法人です

    国民生活センターは「消費者ホットライン」を開設しており、詐欺をはじめとした消費者被害の相談を受け付けています。

    また、消費者ホットラインがつながりにくい場合には、平日の日中であれば「平日バックアップ相談」も併せて利用できます。

    さらに、各都道府県・市区町村に設置された「消費生活センター」でも、持続化給付金詐欺に関する相談を行うことができるのです。

  2. (2)警察

    持続化給付金の返還詐欺に騙され、お金を振り込んでしまった場合には、速やかに警察に被害届を提出しましょう。
    その後の捜査に協力して、詐欺グループの早期検挙が実現すれば、振り込んだお金を取り戻せる可能性があるのです。

    また、持続化給付金の不正受給詐欺に加担してしまった場合、警察からの事情聴取が行われる可能性があります。
    その際には、重い刑事処分を避けるためにも、嘘をつくことなく正直に情報提供を行い、捜査に協力的な姿勢を見せることが重要です

  3. (3)弁護士

    持続化給付金詐欺については、弁護士に相談することもできます。

    弁護士は持続化給付金詐欺への対処法について具体的なアドバイスができるほか、被害回復のための具体的な行動をすることもできます。

    もし持続化給付金詐欺によってお金を振り込んでしまった場合や、持続化給付金詐欺に加担してしまった場合には、速やかに弁護士にご相談ください。

5、持続化給付金に関するトラブルは弁護士に相談を

持続化給付金に関して、詐欺をはじめとするトラブルに巻き込まれてしまった場合には、速やかに弁護士に相談することをおすすめいたします。

持続化給付金の受給を申請する際に弁護士に相談すれば、正しく受給するための企業法務的対応についてアドバイスを受けることができます

また、不正受給に関与してしまった場合の刑事手続きへの対応や、返金詐欺に遭った場合の損害賠償請求などについても、弁護士なら適切なアドバイスをすることができるのです。
特に、不正受給した持続化給付金の返金手続きは、現在返金希望者が殺到していることから手続きに時間がかかり、また煩雑であることから、弁護士を通じて適切に対処する方が望ましいでしょう。

弁護士は、持続化給付金に関する法律問題全般をカバーしており、相談者・依頼者が置かれている状況に応じて問題を解決して、不安を解消いたします。
持続化給付金に関する問題が発生した場合には、速やかにベリーベスト法律事務所熊本オフィスにまでご相談ください。

6、まとめ

持続化給付金は、コロナ禍による混乱のなかで急造された制度であるため、制度の隙に付け込んだ詐欺事例が数多く報告されています。
事業主の方はもちろんのこと、会社勤めの方についても、持続化給付金詐欺に関わることは決してあってはなりません。

万が一、持続化給付金の不正受給に関与してしまった場合や、返金詐欺の被害に遭ってしまった場合には、速やかに弁護士に相談することをおすすめいたします

ベリーベスト法律事務所では、持続化給付金の申請からトラブル対応まで、法律の専門家としての立場で全面的に依頼者をサポートいたします。

持続化給付金に関する法律問題・トラブルにお悩みの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています