債務整理をしても、携帯やスマホの契約は継続できる?

2023年07月10日
  • その他
  • 債務整理
  • 携帯契約
債務整理をしても、携帯やスマホの契約は継続できる?

借金を抱えており債務整理を検討されている方のなかには、「債務整理をしても、スマホや携帯電話の契約は継続することができるのか?」ということが気になる方も多いでしょう。

現代社会では日常的な連絡手段として携帯電話やスマートフォンが不可欠であるため、ひとり一台は携帯電話やスマートフォンを保有する時代になっています。したがって、債務整理によって借金返済の負担が軽減されたとしても、携帯電話の契約が継続できなければ、日常生活や仕事に大きな支障が生じてしまうことになるでしょう。

本コラムは、債務整理をしても携帯電話やスマートフォンの契約を継続できるのかについて、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスの弁護士が解説します。

1、債務整理後も携帯電話は使える?

基本的に、債務整理をした後でも、携帯電話の契約を継続して引き続き利用することは可能です。

  1. (1)債務整理とは

    債務整理とは、借金の返済方法の変更や借金の減免をすることによって、借金返済の負担を軽減することができる方法です。
    債務整理の方法は、主に、以下の三種類となります。

    ① 任意整理
    任意整理とは、債権者との交渉によって、支払い方法の変更、将来利息のカット、遅延損害金の減免などの方法で借金返済の負担を軽減する方法です。

    自己破産や個人再生とは異なり、裁判所を利用しない債務整理の方法であるため、特定の債権者のみ債務整理から除外するといった、比較的柔軟な方法で債務を整理することができます。

    ② 自己破産
    自己破産とは、裁判所に免責を認めてもらうことによって、借金の返済義務を免除してもらう方法です。

    自己破産をすることによって、基本的にはすべての借金がゼロになるため、借金問題を根本的に解決できます。
    ただし、自己破産には、一定金額以上の財産をすべて手放さなければならないというデメリットもあります

    ③ 個人再生
    個人再生とは、裁判所から再生計画案の認可を受けることで、借金総額を大幅に減額し、3~5年での分割払いを行う方法です。

    個人再生では、自己破産のように財産を手放す必要がないため、自宅、車など手放したくない財産がある場合に利用されます。また、住宅ローンの支払を維持しつつ、その他の借金を減額して支払っていくという形でよく利用されます。
    ただし、個人再生は返済型の債務整理であるため、安定した収入がなければ利用することができません
  2. (2)どの債務整理の方法でも携帯電話の契約の継続は可能

    借金の返済が困難になると、任意整理、自己破産、個人再生のいずれかの方法によって、債務整理を行うことになります。

    任意整理であれば、携帯会社を除外して債務を整理することができますので、携帯電話料金や機種代金を滞納していたとしても、債務整理を実行できます
    また、自己破産や個人再生では、すべての債権者を債務整理の対象に含めなければなりませんが、携帯電話料金や機種代金を滞納していなければ、携帯電話の契約を継続することができます。
    つまり、債務整理をしたからといって、ただちに解約されるということはありません

2、携帯電話料金や端末代金を滞納していた場合

携帯電話料金を滞納していた場合には、債務整理によって利用が制限されることがあります。

  1. (1)携帯電話料金を滞納しているケース

    携帯電話料金を滞納していると、携帯電話の契約を強制的に解約される可能性があります。
    債務整理をするかどうかにかかわらず、携帯電話料金を滞納すると、携帯電話会社から支払いの督促状が届きます。
    そして、その後も携帯電話料金の滞納が続くと、携帯電話の利用が停止されて、最終的に強制解約となってしまいます

    任意整理であれば、携帯電話料金を除いて債務整理をすることによって、滞納を解消できる可能性があります。
    しかし、自己破産や個人再生では、すべての債権者を対象にしなければならず、債務整理の手続き中は、一部の債権者への返済が禁止されます。
    そのため、携帯電話料金を滞納している状態で自己破産や個人再生を行うと、支払が停止され滞納を解消できないことを理由に強制的に解約されてしまうことになります

  2. (2)端末代金を滞納しているケース

    携帯電話やスマートフォンの端末代金は、10万円を超えるものもありますので、契約時に端末代金を一括払いではなく、分割払いにしているケースも多いでしょう。
    端末代金を分割払いにしている場合には、借金と同様に端末代金も債務整理の対象に含まれます。

    任意整理では、端末代金を除いて債務整理をすることができますが、自己破産や個人再生では端末代金も含めて手続きを進めていかなければなりません。
    端末代金は、携帯電話料金と一緒に請求されることが一般的なので、端末代金の未払い=携帯電話料金の未払いとなり、携帯電話の契約が強制的に解約される可能性があります。
    なお、携帯電話会社との交渉により、端末代金と携帯電話料金を切り離して請求してもらうことができれば、端末代金を滞納していたとしても、解約を免れる可能性があります

3、債務整理後も携帯電話を使う場合に注意したいこと

債務整理後も携帯電話の利用するためには、以下のような点に注意してください。

  1. (1)クレジットカード払いなら支払い方法の変更が必要

    携帯電話料金をクレジットカード払いにしている場合には、支払い方法の変更が必要になります。
    クレジットカードの利用料金の滞納がある場合には、クレジットカード会社も債務整理の対象に含めなければなりません。すると、クレジットカードの利用は停止されますので、それ以降は、クレジットカードでの携帯電話料金の支払いができなくなってしまいます。

    また、クレジットカードの利用料金の滞納がない場合でも、債務整理をしたという情報は、信用情報機関の事故情報として登録されてしまうため、将来的にクレジットカードが使えなくなる可能性があります。
    クレジットカードが利用できないことによる携帯電話料金の滞納を避けるためにも、早めに支払い方法の変更を行うようにしましょう

  2. (2)債務整理前に滞納分を完済する

    携帯電話料金や端末代金の滞納がある状態で債務整理を行うと、携帯電話の契約が強制的に解約されてしまうリスクが生じます。
    このようなリスクを回避するには、債務整理前に滞納を解消するという方法が検討できます。

    しかし、滞納額や端末代金の残額が高額である場合には、それらを債務整理に前に支払ってしまうと、特定の債権者だけ優先的に弁済をしたとして偏頗弁済を疑われてしまいます。
    そのため、偏頗弁済のリスクがある場合には、債務者本人による弁済ではなく、家族などの第三者に弁済してもらうようにしましょう

  3. (3)新たに端末を購入するなら一括払い

    携帯電話やスマートフォンの端末が故障したり、古くなっていたりすると、新たな端末を購入する必要が出てきます。

    債務整理後に新たに端末を購入する場合には、基本的には、一括払いでなければ購入することができません。
    債務整理をしたという情報がブラックリストに登録されてしまい、分割払いの申込みの審査を通ることができなくなるためです

  4. (4)家族名義での契約も検討する

    携帯電話料金や端末代金を滞納していたことにより、携帯電話の契約を強制的に解約されてしまうと、その情報は、他の携帯電話会社にも共有されます。
    そのため、債務整理後に新たに携帯電話の契約をしようとしても、契約を断られてしまう可能性があります

    債務者本人名義で契約ができない場合には、家族名義で携帯電話の契約をしてもらうことも検討しましょう。

4、債務整理については弁護士に相談

債務整理を検討されている方は、弁護士にご相談ください。

  1. (1)債務整理による携帯電話の契約への影響をアドバイスしてもらえる

    利用料金や端末代金に滞納がなければ、債務整理をしたとしても、携帯電話が解約されるなどの心配はありません。
    しかし、滞納がある状態で債務整理をすると、場合によっては携帯電話の契約を強制的に解約されてしまうリスクがあります。

    このようなリスクを回避するためには、適切な債務整理の方法を選択したり、滞納を事前に解消したりするなどの対応をとらなければいけません。
    債務整理後も携帯電話の契約を継続したいという方は、まずは、専門家である弁護士のアドバイスを受けてみましょう

  2. (2)債務者にとって最も効果的な債務整理の方法を選択してもらえる

    債務整理の方法には、任意整理、自己破産、個人再生の三種類があります。
    それぞれの方法ごとにメリットとデメリットがあるため、それらをふまえたうえで、最適な方法を選択することが重要です。

    債務整理に関する豊富な知識と経験を有している弁護士であれば、借金総額、収支状況、資産内容など債務者の具体的状況をふまえながら、最適な方法を提案することができます
    債務整理を検討されている方は、弁護士にご相談ください。

5、まとめ

携帯料金や端末代金の滞納がある場合には、債務整理によって、携帯電話の契約が強制的に解約されるおそれがあります。
携帯電話の契約が解約されてしまうと、生活や仕事にも多大な支障が生じることになりますので、解約を回避しながら債務整理を進めていくことが大切です。

弁護士であれば、債務整理の方法や携帯電話の解約を回避するための方法をアドバイスすることができます。
携帯電話の契約を維持しながら債務整理を希望する方は、まずは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています