みだらな行為を小学生に対してした容疑をかけられたらすべきこと

2025年02月12日
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みだらな行為を小学生に対してした容疑をかけられたらすべきこと

令和6年、熊本市内の男性が女子小学生を自宅アパートに招き入れ、わいせつ行為をしたとして、不同意わいせつ罪の疑いで逮捕されたという報道がありました。

小学生に対してみだらな行為をすると不同意わいせつ罪(旧:強制わいせつ罪)などの罪に問われる可能性があります。「みだらな行為」は、抽象的な概念であるため判断が難しいケースもありますが、性行為だけでなく性交類似行為も含まれます。

今回は、小学生に対してみだらな行為をしたときに問われる可能性のある罪とそのような行為をしたときの対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスの弁護士が解説します。


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1、「みだらな行為」とは? 「わいせつ」「淫行」との違い

みだらな行為とはどのように定義されているのでしょうか。また、みだらな行為とわいせつ・淫行とはどのような違いがあるのでしょうか。

  1. (1)「みだらな行為」とは

    小学生などの青少年に対するみだらな行為は、判例(最高裁昭和60年10月23日判決)により、以下のように定義されています。

    みだらな行為の定義
    • 青少年を誘惑、威迫、欺罔(ぎもう)または困惑させるなど、青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段によって行う性交または性交類似行為
    • 青少年を自己の性的欲望を満たすための対象として扱っていると認められるような性交または性交類似行為


    性交類似行為とは、「口淫」「手淫」「肛門性交」「裸で抱き合う行為」なども含み、これらはすべて“みだらな行為”にあたります。

  2. (2)「わいせつ」や「淫行」との違い

    わいせつとは、判例(最高裁昭和26年5月10日判決)により、以下のように定義されています。

    わいせつの定義
    いたずらに性欲を刺激興奮させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの


    また、「みだらな行為」との違いは以下の通りです。

    「わいせつ」と「みだらな行為」の違い
    被害者との性交や性交類似行為だけでなく、痴漢行為や公園での陰部の露出行為なども含まれますので、みだらな行為よりも広い概念といえるでしょう。


    なお淫行は、みだらな行為と同じ意味で使われていますので、同義と考えてよいでしょう。

2、小学生に対してみだらな行為をしたとき問われうる罪と処罰

小学生に対してみだらな行為をしてしまうと、以下のような罪に問われる可能性があります。

  1. (1)不同意わいせつ罪

    不同意わいせつ罪とは、被害者が同意できないような状況でわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です(刑法176条)。

    同罪が処罰対象とするわいせつな行為としては、以下の行為が挙げられます。

    • 被害者の胸や臀部(尻)を触る
    • 被害者の陰部を触る
    • 被害者の衣服を脱がす
    • 突然抱きつく
    • 無理やりキスする


    不同意わいせつ罪は、被害者の年齢によって構成要件が異なり、13歳未満の子どもが被害者であるときは、同意があったとしても不同意わいせつ罪が成立します。そのため、小学生に対するみだらな行為については、不同意わいせつ罪に問われる可能性が高いでしょう。

    不同意わいせつ罪が成立すると、6月以上10年以下の拘禁刑(懲役刑)に処せられます。

  2. (2)不同意性交等罪

    不同意性交等罪とは、被害者が同意できないような状況で性交等をした場合に成立する犯罪です(刑法177条)。

    同罪が処罰対象とする性交等とは、以下の行為をいいます。

    • 性交
    • 肛門性交
    • 口腔性交
    • 膣や肛門に身体の一部や物を挿入する行為


    不同意性交等罪も不同意わいせつ罪と同様に被害者が13歳未満であるときは、同意があったとしても、不同意性交等罪が成立します。そのため、小学生と性交等をすれば、不同意性交等罪に問われる可能性が高いでしょう。

    不同意性交等罪が成立すると、5年以上の有期拘禁刑(懲役刑)に処せられます。

  3. (3)青少年保護育成条例違反

    青少年保護育成条例とは、青少年の保護と健全な育成に寄与することを目的として、各都道府県が制定する条例です。具体的な規定は、都道府県ごとに多少異なりますが、満18歳未満の人を「青少年」と定義し、青少年との淫行を処罰対象としています。

    小学生とのみだらな行為は、青少年保護育成条例が禁止する青少年との淫行にあたりますので、青少年保護育成条例違反となる可能性が高いです。

    青少年保護育成条例違反の罰則は、都道府県ごとに異なりますが、たとえば東京都の場合には、2年以下の懲役または100万円以下の罰金と規定されています。

  4. (4)児童淫行罪

    児童福祉法では、18歳未満の男女を「児童」と定義し、児童に対して淫行をさせる行為を「児童淫行罪」として処罰しています(児童福祉法34条1項6号)。

    淫行させるとは、児童に対して事実上の影響力を及ぼして淫行を助長、促進する行為をいい、主に以下のような立場にある人の行為が問題となります。

    • 学校の教師
    • 被害者の母親の交際相手
    • 児童相談所の職員


    児童福祉法の児童淫行罪が成立すると、10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらが併科されます。

  5. (5)児童買春罪

    児童ポルノ禁止法では、18歳未満の男女に対し、お金やプレゼントなどの対価を支払い、性交等をする行為を「児童買春罪」として処罰しています(児童ポルノ禁止法4条)。
    小学生の児童に対して金品を渡して性交等をした場合は、児童買春罪で処罰される可能性があります。

    児童ポルノ禁止法の児童買春罪が成立すると、5年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。

3、事件になった場合に起こりうること

小学生に対するみだらな行為が事件になった場合には、どのようなことが起こりうるのでしょうか。以下では、刑事事件になったときの流れとその影響について説明します。

  1. (1)小学生に対するみだらな行為が刑事事件になったときの流れ

    小学生に対するみだらな行為が刑事事件になった場合、以下のような流れで手続きが進んでいきます。

    ① 逮捕 ⇒ ② 検察官送致 ⇒ ③ 勾留・勾留延長 ⇒ ④ 起訴または不起訴(釈放)


    ① 逮捕
    小学生に対するみだらな行為をすると、子どもの様子の変化に気づいた親から通報があり、事件が発覚するケースが多いです。

    警察による捜査の結果、被疑者が特定され、逃亡または罪証隠滅のおそれがあるときは、裁判官が発布する逮捕状に基づいて、通常逮捕となります。警察に逮捕されると、被疑者は、警察署内の留置施設で身柄拘束され、事件に関する取り調べを受けます。

    ② 検察官送致
    警察は、被疑者を逮捕したときは、48時間以内に被疑者の身柄を検察官に送致しなければなりません。身柄の送致を受けた検察官は、必要な取り調べを終えて、被疑者を釈放するか、身柄拘束を継続するかの判断をしなければなりません。

    また、検察官は、被疑者の身柄を引き続き拘束する場合には、送致から24時間以内に裁判所に勾留請求をしなければなりません。

    ③ 勾留・勾留延長
    裁判官は、被疑者と面談(勾留質問)をして、勾留を認めるかどうかの判断を行います。裁判官が勾留を許可した場合、原則として10日間の身柄拘束が行われます。

    勾留には延長制度がありますので、検察官が勾留延長請求をして、裁判官がそれを許可するとさらに最大で10日間の身柄拘束が続きます。

    ④ 起訴または不起訴
    検察官は、勾留満期までに事件を起訴するか不起訴にするかの判断をします。起訴されれば刑事裁判が行われ、有罪・無罪の審理をし、有罪の場合には量刑を判断したうえで、判決が言い渡されます。

  2. (2)小学生へのみだらな行為が事件になった場合の影響

    小学生へのみだらな行為が事件になった場合、以下のような影響が生じる可能性があります。

    ① 性犯罪者としてのレッテルを貼られる
    小学生へのみだらな行為は、性犯罪にあたりますので、事件になってしまうと周囲の人から性犯罪者であるとのレッテルを貼られてしまいます

    近年、性犯罪に対してはいっそう厳しい目が向けられています。性犯罪が公になると家族や近隣の住民、仕事における人間関係の構築が難しくなり、社会生活や日常生活に支障が生じるおそれがあります。

    ② マスコミ報道により半永久的に性犯罪者としての情報が残る
    小学生へのみだらな行為で逮捕・起訴されてしまうと、重大な犯罪でありかつ世間の関心も高いといえますのでマスコミも実名で報道する可能性が高いです。

    ネットニュースなどで実名報道がなされると、その情報はデジタルタトゥーとして、半永久的にインターネット上に残ってしまいます。今後、就職や転職、結婚や再婚をする際には、常に過去の性犯罪が付きまとうことになりますので、うまくいかないことも多いでしょう。

    ③ 仕事を解雇される可能性がある
    小学生とみだらな行為をして有罪となれば、会社から懲戒解雇をされるリスクがあります。
    性犯罪は、重大な犯罪ですので、私生活上の犯罪行為であっても懲戒解雇が有効となる可能性が高いといえるでしょう。

    ④ 家族も周囲の人から誹謗中傷されるおそれがある
    性犯罪をした自分が不利益を受けるのは、自業自得といえるかもしれませんが、性犯罪は自分だけでなく自分の家族に対しても悪影響を及ぼす可能性があります。

    性犯罪をした人の家族というだけで世間からは白い目で見られてしまい、誹謗中傷をされるなどのリスクもあります。

4、小学生に対するみだらな行為が事件化したら弁護士に相談を

小学生に対するみだらな行為が事件化したときは、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。

  1. (1)被害者との間で示談交渉を行うことができる

    小学生に対するみだらな行為が事件化してしまったときは、すぐに被害者との示談交渉を始めることが重要です。

    検察官による処分が決定する前に示談が成立すれば、不起訴になる可能性が高くなり、すでに身柄拘束されている場合には早期釈放の可能性が高くなります。

    しかし、加害者自身で示談交渉をしようとしても、性犯罪という性質上、被害者や被害者の親から拒まれてしまうケースがほとんどです。捜査機関も加害者が被害者と接触を行うことは認めないケースが多く、また、逮捕・勾留されている場合には加害者に代わって交渉を行う弁護人が必要となるケースが多いでしょう。
    弁護士であれば、加害者に代わって示談交渉を行うことができますので、被害者側も安心して示談交渉に臨むことができるでしょう

  2. (2)早期釈放や不起訴処分などの有利な処分の獲得に向けたサポートができる

    小学生へのみだらな行為により起訴されてしまうと、有罪となる可能性が非常に高くなります。性犯罪者としてのレッテルを貼られるリスクを回避するには、不起訴処分の獲得が重要になります。

    前述の通り、刑事事件は非常に速いスピードで進みます。すでに逮捕されている状況であれば、一刻も早く弁護士に相談して、弁護活動を開始することをおすすめします。早期に弁護士に依頼すれば、それだけ充実した弁護活動を行うことができます。早期釈放や不起訴処分などの有利な処分の獲得に向けて、いち早く信頼できる弁護士に依頼するのが得策といえます。

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5、まとめ

小学生に対してみだらな行為をすると、行為の状況によって、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪などが成立する可能性があります。このような性犯罪により起訴されてしまうと、その後の人生に重大な悪影響が生じてしまいますので、早期に弁護士に相談して、被害者の示談交渉を行ってもらうようにしましょう

小学生に対するみだらな行為をしてしまったという方は、一刻も早くベリーベスト法律事務所 熊本オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています