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アルバイト(パート社員)を解雇するときの留意点やリスクとは?

2021年01月07日
  • 労働問題
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アルバイト(パート社員)を解雇するときの留意点やリスクとは?

令和2年の1月から7月までのあいだに熊本県内で発生した企業倒産は、合計で50件でした。新型コロナウィルスの流行に伴う経済の悪化を受けて、今後も、熊本県内の企業の経営状態は悪化することが予想されています。
会社やお店を経営されている方は、経営状態の悪化などの理由から、やむを得ず従業員を解雇することがあります。そして、解雇する従業員を選ぶときには、正社員よりもアルバイトやパート社員を先に解雇させることを検討するケースが一般的でしょう。
しかし、対象がアルバイトであっても、解雇を行う際には正当な理由が必要とされます。また、労働契約法などの法律の規定にしたがって、適切な手続きをふまなければいけません。
解雇を正当化する理由がない場合や、手続きが適切に行われていない場合には、不当解雇として従業員に訴訟されて、社会的な非難を受けるリスクが生じるのです。
本コラムでは、アルバイトやパート雇用の労働者の解雇する方法や、使用者が注意するべき点について」、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスの弁護士が解説いたします。

1、アルバイトは解雇できるのか?

結論からいえば、会社側がアルバイトを解雇することは可能です。
ただし、解雇は、自由にできるわけではありません。いちど雇い入れた労働者を解雇することは、相手が正社員ではなくアルバイトであっても、所定の手続きや条件を満たす必要があるのです
解雇が認められるための正当な理由には、以下のようなものがあります。

  1. (1)アルバイト労働者が会社に対する不正行為をした場合

    アルバイト労働者が会社に対する不正行為を行った場合には、解雇を行う正当な理由となります。
    たとえば、店舗のレジにあるお金を盗む横領行為(刑法252条)や、会社の所有物を盗むなどの窃盗行為(刑法235条)です。これらの行為は、刑罰に該当する違法行為であり、会社と従業員との信頼関係を破壊するものです。したがって、こうした不正行為が発覚した場合には、該当社員を解雇することは正当であると認められるでしょう

  2. (2)アルバイト労働者が会社に損害を与えた場合

    企業のブランド価値を著しく落とす行為を行ったり、会社に経済的損害を生じさせたりした場合は、その行為が犯罪ではなくても、解雇の正当な理由となります
    たとえば、ネット上に会社のブランド価値を低下させるような書き込みをした結果、会社の売り上げを落としたような場合です。最近では、TwitterなどのSNSにアルバイト勤務中のふざけた写真を掲載し、炎上する事件も話題になっています。そのような投稿が店の客足を減らしたり休業にまで追い込んだりした場合には、解雇は有効と判断されるでしょう。
    また、会社が保有している個人情報を流出させる行為は、刑事罰にまではいたらない場合であっても、会社に損害を与えて、会社と従業員との信頼関係は破たんさせる行為です。このような場合にも、解雇の有効性が認められる可能性は高いでしょう。

  3. (3)経営不振による解雇の場合

    会社の経営不振が原因で行われる解雇は、「整理解雇」と呼ばれます。
    整理解雇は、本項の(1)や(2)の場合とは異なって、従業員側には落ち度がないにもかかわらず、会社側の事情で解雇を行うものです。
    そのため、整理解雇では、上記の場合に比べて解雇が有効と認められる基準が厳しく設定されています
    具体的には、整理解雇の有効性を判断するものとして、四つの要件が存在しているのです。

    ●整理解雇の必要性
    大前提として、業績が悪化しており、人員を整理しなければ会社の存続が危うくなる、といった状況が必要とされます。

    ●解雇を回避する十分な努力がみられる
    すでに人員整理以外の方法で経営難に対処する取り組みを十分に行った後であり、それでも対処しきれなかったために、人員を整理する判断にいたった……という努力の過程が必要とされます。

    ●整理解雇の対象者の選定基準が客観的かつ合理的であること
    解雇される人物、人員整理の対象として選定したことについて、客観的にみて合理的な理由があるといえなければいけません。

    ●整理解雇の必要性や時期、基準について、労働組合や労働者に適切に説明し協議を尽くしたこと
    「人員整理が避けられない」という判断にいたった理由、人員整理の時期、対象者の選定基準などについて、労働組合や労働者に対して十分に説明して、相手側からの質問や要望にも対応する協議の場を持つ必要があります

    なお、一般的には、アルバイトを整理解雇する際の四要件の判断基準は、正社員の場合に比べるとやや緩やかになると考えられています
    とはいえ、これらの要件を検討せずにアルバイトを解雇することは、違法になる可能性があるのです。会社側としては、四要件をすべて満たしているかどうか、十分に検討しなければいけません。

2、適正な手続きを経ない解雇で会社側が被るリスクとは?

解雇の対象が正社員であろうとアルバイト社員であろうと、解雇を行う際には、適正な手続きをふまなければならない点は同じです。
手続きを怠ると、解雇した後に、元アルバイト社員から「不当な解雇である」と訴訟を提起されたり、損害賠償請求をされたりする可能性があるのです。
また、裁判の結果がどうであろうと、裁判を起こされること自体が会社の経営者や担当者にとっては大きな精神的負担となり、対応のために金銭的・人員的なコストがかかるだけでなく、企業に対する世間からの信頼を低下させるリスクも存在します。
特に、アルバイトを多数雇っている企業が、経営立て直しのために、同時に多くのアルバイト社員を解雇する場合には、「利益を優先するために、アルバイト労働者の権利を軽んじている」といった社会的な非難を受ける可能性もあります。経営を立て直すために行っているはずの整理解雇が原因で社会的非難を受けて、結果としてさらに経営に悪影響が出るという、本末転倒な事態になるおそれがあるのです。
そのため、整理解雇を行う際には、不当解雇として訴訟を起こされることがないように、適正な手続きをふまえていることを入念に確認するべきといえるでしょう

3、社員を解雇するときの手続きの流れ

アルバイト社員を解雇する場合の、具体的な流れについて、解説いたします。

  1. (1)解雇の30日以上前に告知する

    アルバイトであっても正社員であっても、社員を解雇するためには、使用者は解雇予定日の30日以上前に予告しなければなりません。
    解雇予告は、法律的には、「本人に対して口頭で直接連絡する」というかたちでも問題ない、とされています。
    しかし、後々のトラブルを予防する観点からすれば、解雇予告は正式な書面で行い、日付も含めた証拠を残しておくべきでしょう。なお、もし社員の側から解雇の理由を証明する書面を求められた場合には、仕様者には遅滞なく交付する義務があります(労働基準法22条2)。

  2. (2)解雇予告手当を支払う

    30日の予告期間を待たず、すぐにでも辞めさせたい場合には、解雇予告の代わりとして30日分の予告手当を支払うことで、即解雇することができます。さらに、解雇予告と解雇予告手当を両方組み合わせることもできるのです。
    たとえば、12月20日に退職してもらいたい場合には、12月1日に解雇予告を行って、30日分の残りの10日分を、解雇予告手当を支払うことで充当することも可能です。

  3. (3)雇用契約期間満了時に契約の更新をしない

    期間の定めのある有期労働契約の場合は、期間満了とともに契約を更新せず雇止めすることができます。雇止めとは、期間が満了したことを理由とする雇用契約の終了であるため、会社側からの解雇ということにはならないのです。
    ただし、有期雇用契約であっても、「契約満了による契約の終了」とはならない場合があります。これまでに有期雇用契約が過去に複数回更新されてきた経緯がある場合や、それまでの勤務期間中に「次回にも契約更新がありそうだな」と労働者に期待させるやりとりがあった場合には、労働者は「雇用契約は当然に継続される」と期待している状況になります。このような状況では、有期雇用契約といえども、正当な理由がなければ雇止めが認められない可能性があるのです。これを、「雇止め法理」と呼びます。

4、アルバイトを解雇するとき、特に留意すべき点とは?

  1. (1)契約期間の確認

    アルバイトを解雇するときには、まず、「アルバイトとの雇用契約が無期であるか有期であるか」を確認しましょう。
    無期の雇用契約とは、雇用契約の期間の定めがない契約のことです。
    一方で、有期の雇用契約とは、雇用の期間が定められている契約のことを指します。
    現在の契約内容が無期雇用であるか有期雇用であるかは、雇い入れ時に作成した労働条件通知書や雇用契約書に記載されています
    有期の雇用契約である場合には、雇用期間の満了に伴って契約を更新しなければ、原則として雇用関係は終了します。しかし、雇用契約の期間中は、原則として会社からの解雇はできないのです(労働契約法第17条1項)。

  2. (2)解雇時には十分な説明をすべき

    解雇トラブルが起こる原因は、解雇そのものではなく、解雇を行う際の使用者側の態度にあることも珍しくありません。解雇にいたるまでの理由をきちんと説明しなかったり、「どうせクビにする相手だから」と労働者を軽んじた扱いをしたりすることで、労働者からの恨みを買って、不当解雇として訴えられたり損害賠償を請求されたりする事例が多々あるのです。
    そのため、解雇を行う際には、解雇の理由を丁寧に説明して、労働者に対する誠意を示すことが大切でしょう

5、まとめ

本コラムでは、使用者がアルバイト労働者を解雇する方法や、解雇を行う際の注意点について説明いたしました。
相手がアルバイトでもあっても、解雇を行う際には、解雇の正当性を満たすかどうかを慎重に判断したうえで、法律に適した手続きをすすめなければいけないのです。手続きや確認を怠って安易に解雇を行うことには、不当解雇訴訟や損害賠償請求などの、思わぬ法律トラブルに発展するリスクがあります。
近年の日本では非正規雇用労働者が次第に増え続けており、正社員よりもアルバイトやパートの方が多い会社も珍しくありません。アルバイト労働者も会社の大事な労働力とみなして、解雇をする際にも誠意を示して扱うことが、トラブルの予防にもつながるのです。
また、解雇に関わるもののほかにも、労働関係に関する法律や規制は年々厳しくなっております。最新の法令を遵守して、労働トラブルを未然に防ぐため、整理解雇を行う際や就業規則を改定する際には、法律の専門家である弁護士に相談するべきといえるでしょう
また、顧問弁護士サービスを利用すれば、労働問題を事前防止するための対策を定期的に話し合ったり、実際に裁判になった場合に速やかに対応を開始したりできる態勢を整えることができます。
ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスには、労働問題についての知見が豊富な弁護士が在籍しています。解雇に関する相談についても、顧問弁護士に関する相談についても、ぜひベリーベスト法律事務所にまでご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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