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悪徳商法で騙された! 消費者契約法で契約の取り消しはできる?

2021年05月18日
  • 個人のトラブル
  • 消費者契約法
悪徳商法で騙された! 消費者契約法で契約の取り消しはできる?

熊本県の消費者センターでは、崇城大学のデザイン学科の生み出したマスコットキャラクターである「ショータ君」のイラストを用いながら、情報商材詐欺やネット通販トラブルなどの様々な消費者被害や悪徳商法について、注意を促す啓発のポスターが作成されています。

消費者を悪徳商法やトラブルの被害を守る法律が「消費者契約法」です。
本コラムでは、購入した商品やすでに結んでしまった契約を消費者契約法で取り消しする方法について、べリーベスト法律事務所 熊本オフィスの弁護士が解説いたします。

1、消費者契約法の基礎知識

核家族化や少子高齢化が進み、高齢の両親と子どもが離れて暮らすことが多くなったためか、高齢者を中心に消費者被害が後を絶ちません。そうした被害から消費者を保護・救済すべくできたのが消費者契約法です。

  1. (1)消費者契約法とは

    消費者契約法とは、事業者の行為により消費者が誤認・困惑したときに取り消したり、消費者の利益を一方的に害するような契約条項を無効にしたりできる法律です
    本来、契約は当事者同士が自由できるものですが、消費者と事業者との間にはどうしても情報や交渉力の格差が生じてしまいます。その格差を是正し、消費者を保護しようとするのがこの法律なのです。

  2. (2)契約書に書いていても無効になるもの

    契約は原則として当事者がお互いに守らなければならないものですが、消費者の利益を不当に害する内容については、契約書に明記されていても無効です。
    たとえば、以下のような条項が無効とされます。

    ● 消費者側にキャンセルや返品・交換などを一切認めない条項
    「いかなる理由があっても、キャンセルや返品・交換などは認められない」等の条項が該当します。事業者側が消費者に解除権があるかどうかを決めることもできません。

    ● 事業者側に「損害賠償責任はない」とする条項
    「事業者は一切の損害賠償責任を負わない「事業者は故意や重過失があっても損害賠償責任が免除される」などの条項がこれにあてはまります。また、事業者自身が自らの責任の有無や範囲を決定する条項も無効です。

    ● 損害金やキャンセル料が法外な条項
    「契約を解除する場合は、100万円を相手方(事業者)に支払う」「遅延損害金を20%とする」(法定)など、消費者が支払う損害金やキャンセル料が法外に高額な条項や、遅延損害金の年利14.6%を超える部分は無効となります。

    ● 消費者が一方的に不利になる条項
    「契約を解除する旨の連絡がない場合は、契約を継続するものとみなす」など、消費者が何もしないことによって無条件に契約を成立させて不利益をおしつけるような契約は無効とされています。

    ● 成年後見制度を利用すると契約が解除されてしまう条項
    アパートの賃貸契約などで「後見開始の審判を受けたときは、契約を解除する」と書かれている条項は無効です。

  3. (3)クーリングオフ期間を過ぎたら

    クーリングオフとは、訪問販売など特定の取引の場でいったん契約をしてしまっても、消費者があとから一方的に契約解除できる制度です。クーリングオフ期間は原則として契約書を受け取ってから8日間とされています。「クーリングオフしたい」旨の書面を発送するとき、当該書面は必ずコピーをして特定記録や簡易書留などの記録が残る形で送付しましょう。

    ただし、結んだ契約が消費者契約法上の購入取り消しができる条件にあてはまるときは、以下のいずれかの期間であれば契約解除が可能です。

    • 追認ができるとき(自分の結んだ契約が違法であると消費者が認識したとき等)から1年間
    • 契約の締結のときから5年間

2、購入の取り消しができる条件

消費者契約法では、一方的に購入を取り消せる条件が11個規定されました。以前は6つでしたが、平成30年の消費者契約法改正により、同法4条3項3号以下に条件が5つ追加されています。

  1. (1)重要事項についてウソの説明をされた場合(不実告知)

    商品・サービスの内容や品質・効果、価格や支払い方法など契約の根幹にかかわるような重要事項について、事実とは異なる説明をした場合がこれにあてはまります。また、生命や身体、財産などの損害や危険を回避するための必要性について、ウソをついた場合も不実告知となります。

    例:
    • 「これをつけたら通信料が安くなる」と言われたのに安くならなかった
    • 「床下がシロアリにやられている」と言われてシロアリ駆除の契約をさせられたが、実際にはシロアリがいなかった など
  2. (2)常識的な分量や回数を超える物を買わされた場合(過量契約)

    通常必要とされる分量や回数を著しく超えることを事業者が知っていながら販売する行為のことを指します。

    例:
    • 一人暮らしの高齢者が毎月のように布団を買わされた
    • サプリメントの試供品を一度注文したら、飲みきれない分量を買わされた など
  3. (3)絶対かどうかわからないのに絶対もうかると言われた場合(断定的判断の提供)

    将来どうなるかわからないことについて、確実だと告げた場合がこれにあたります。

    例:
    • 「この土地の値段は絶対上がります!」と言われたが全く上がらなかった
    • 「この株を購入すれば絶対もうかります」と言われたが、株価が大幅に下落し損失を出した など
  4. (4)消費者に不利な情報をわざと教えなかった場合(不利益事実の不告知)

    消費者に利益をもたらす情報を伝える一方で、重要事項について不利になる情報をわざと伝えなかった場合がこれに該当します。

    例:
    • 不動産業者に「自然豊かで静かな別荘地」と説明されたが、実は近日中に産廃処理場の建設が始まることを知らされなかった
    • 賃貸マンションの広告には「日当たり良好」と書いてあったが、隣に日当たりを阻害するタワーマンションが建設予定であることを販売業者が説明しなかった など
  5. (5)「帰ってくれ」とお願いしても営業マンが帰らなかった場合(不退去)

    訪問販売業者に玄関先で長時間説明を受け続けたが、「帰ってくれ」とお願いしても強引に居座った場合がこれにあたります。また、この場合は不退去罪という刑法上の犯罪も成立します。

    例:
    • 訪問販売の営業マンに「お引き取りください」と言ったが、契約を結ぶまで帰ろうとしなかったため、仕方なく契約した など
  6. (6)お店などで強引に引き留められた場合(退去妨害)

    事業者が勧誘しているお店で、帰ろうとしても強引に引き留められて帰れなくなるような場合がこれに該当します。

    例:
    • 道で声をかけられて事務所に連れていかれたが、「帰ります」といっても「まだ説明があるから」と強引に引き留められて契約させられた など
  7. (7)不安をあおって勧誘した場合(不安をあおる告知)

    消費者が不安に思っていることを事業者が知りながらその不安をあおって商品やサービスを購入させる行為がこれにあたります。

    例:
    • 「このままでは一生就職できないから、この就職セミナーが必要」と言われて契約した
    • 「あなたはこのままじゃ一生モテないからこのエステを受けるべき」と無理やり説得されて料金を支払った
  8. (8)人の恋愛感情を利用して買わせた場合(好意の感情の不当な利用)

    相手にわざと優しくして自分に好意を抱かせることで、商品やサービスを売りつける行為がこれに該当します。いわゆる「デート商法」と呼ばれるものです。

    例:
    • 宝石販売事業者がSNSで若い女性に近づいて好意を抱かせ、「契約してくれなければ君との関係を終わらせなければならない」と言って高価な宝石を売りつけた など
  9. (9)判断能力が低下していると知りながら勧誘した場合(判断力の低下の不当な利用)

    判断能力や身体能力が低下して不安に思っているところにつけこんで、わざと契約させることがこれにあてはまります。

    例:
    • 判断能力が低下している高齢者が「今のうちに投資用の物件を買っておかないと、将来収入が得られなくなる」と不動産業者に言われて契約させられた など
  10. (10)霊感商法を利用して勧誘した場合(霊感等による知見を用いた告知)

    「悪霊がいる」などと言って、そのままでは重大な不利益が起こると信じ込ませて勧誘する行為がこれにあたります。

    例:
    • 「あなたには悪霊がとりついている。この壺を買わないとあなたに災いがふりかかる」と言われ、高価な壺を売りつけられた など
  11. (11)契約前にしたことを理由に契約を迫った場合(契約締結前に債務の内容を実施等)

    契約締結前なのに、契約内容を先に行ったことを理由に契約を迫る行為がこれに該当します。

    例:
    • 「水道を無料点検している」というので作業員を家にあげて点検してもらったところ、高額な点検料を請求された など

3、契約の無効や解除を訴えたいときの相談先

「不要なものを買わされて困っている」「クーリングオフ期間は過ぎたけれど、契約を解除したい」という方は、一人で抱え込まずにまずは下記へ相談されることをおすすめします。

  1. (1)消費生活センター

    どこで相談して良いかわからないときは、ひとまず消費者ホットラインの「188番」に電話をすると、消費生活センターなどの相談窓口につながります。消費生活センターとは、消費生活全般に関する苦情や問い合わせを、専門の相談員の方が受け付けてくれるところです。188番に電話をするほか、都道府県や市区町村に設置されている消費生活センターに直接コンタクトを取ってみるのもよいでしょう

  2. (2)適格消費者団体

    不当な勧誘にあったら、適格消費者団体と呼ばれる団体に相談するのもひとつの方法です。適格消費者団体とは、内閣総理大臣の認定を受けた差止請求関係業務を行う消費者団体のことです。適格消費者団体は、消費者に代わって事業者に対して裁判外もしくは裁判での差止請求権を行使する役割を担っています。熊本では「消費者支援ネットくまもと」という名称で活動しています。また、平成28年10月からは悪質な事業者に消費者の被害回復を求めるための特定適格消費者団体もできました。

  3. (3)弁護士

    弁護士に相談するメリットとしては、事業者に交渉に応じてもらえる可能性が高くなることです。消費者個人では相手にされないかもしれませんが、弁護士であれば交渉のテーブルについて契約解除が実現する可能性が高くなります。また、クーリングオフ期間を過ぎていても支払ったお金を取り戻せる可能性もでてきます
    相手方が交渉に応じず訴訟になったときも手続きを一任でき、有利な判決を引き出すこともできるでしょう。

4、まとめ

消費者被害は高齢者だけでなく、若い方に及ぶことも珍しくありません。若い方でも、決して油断はできないでしょう。「無理やり契約書にサインさせられた」など不当な契約を結ばされたときは、ベリーベスト法律事務所 熊本オフィスにまでご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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